Interview Mariko Tubota 士業者が身につけたい 顧客をつかむ面談術

坪田まり子先生

坪田 まり子先生

<Profile>
有限会社コーディアル 代表取締役
国立大学法人 東京学芸大学 特命教授
亜細亜大学短期大学部 特任講師
プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®

Q1.本書に込められた思いをお聞かせください。

端的に申し上げますと、“ぜひご活用いただきたい”と思っております。私は13年間、国際法律事務所で秘書をしておりましたが、今回の一冊には、その秘書時代のこと、独立して士業者の方向けに講演をするようになってから見たことや感じたこと、こうしたほうがもっと良いのにと思ったことすべてを飾らずに書き連ねました。

特に秘書時代は、「どうしてクライアントの方は先生の良いところに気づいてくださらないのかしら」と歯がゆく思うことが多々ありましたので、客観的な立場から「先生方、こういうところがあるとせっかくの良さが伝わらないのではないでしょうか」というところを書かせていただきました。

ですから、僭越ながら、もっとビジネスチャンスをつかめるはずの士業の先生方に、一度ご自身のことを振り返っていただきたいという思いを込めました。

Q2.ビジネスマナーに関する書籍は多くありますが、本書は士業者の方向けということで、どのような点を意識されましたか?

まず先にお断りをさせていただきますと、今回の一冊は、マナーだけを中心に書いたものではありません。マナーというと敬遠される方が多いと感じています。それは士業者の方に限らず、学生も、企業の方々もそうです。

大事とわかっていながらも、「そんなこと知っているよ」と思うからこそ、マナーという言葉を堅苦しく感じられるのではないでしょうか。私は、マナーは“人に迷惑をかけないための規則”という意味以外にも、あと二つの本質を持ち合わせていると考えています。

それは、“人に好感を与えるため”、そして“人に敬意を表するため”です。
もしも士業者の方がクライアントに対して好感を与えなかったら、敬意を表することができなかったら、どうなりますでしょう。そう考えると、士業者の方は誰もがちょっと苦手と思うビジネスマナーをしっかりと身につけてこそ、ビジネスチャンスをつかめると言えますよね。

ですから、先ほど申し上げたように、本書はビジネスマナーだけを扱ったものではありませんが、本文中で何度も“もっと好感を高めるために”、“もっと敬意を表するために”と書かせていただいたのは、ビジネスマナーは人と良好な縁をつかむための魔法のようなものだと考えているからです。

ですから士業者の方こそ、講演でも面談でも、“今日の私は好感を持ってもらえただろうか”、“敬意を表することができただろうか”と、少し謙虚な気持ちで振り返っていただきたいと思っております。

Q3.一般企業にお勤めの方と比較して、士業者の方に特に求められるものは何でしょうか。

偉そうなことをあえて言わせていただくと、“士業らしい第一印象”が必要だと考えています。どんな仕事でも社会人になる以上、名刺を持ちます。ということは、その名刺がある以上、単なる個人としてではなく、必ず会社名または事務所名と紐づけて信頼に足るかを判断されます。

ですから、それにふさわしい第一印象をしっかりともっておくことが社会人としてまず大切なことだと思います。ことさら士業者は、決して安くはない報酬を払っていただくわけですから、払っても惜しくはないと思っていただけるような印象を持っていなければなりません。

士業の場合、紹介から依頼に結びつくことが多いですから、良い評判を聞き、期待を高めて先生のところを訪問したのに、先生の第一印象ががっかりしてしまうようなものだったら、ひどく残念に思われるだろうと思います。

ですから、士業だからこそ、がっかりされない、信頼感を与えられるオーラのある第一印象を持つべきだと、生意気ですが思っております。

Q4.本書は士業者の方ご本人だけでなく、事務所のスタッフの方々にも役立つ一冊だと思います。先生は弁護士事務所の秘書のご経験もお持ちですが、士業者の方を支えるスタッフの方が持つべき意識とはどのようなものでしょうか。

先ほど、士業だからこそ第一印象が大事と申し上げましたが、秘書も同等の意識を持っていてほしいと思います。
そもそも秘書というのは主役ではなく、影で先生を支える黒子のような存在ですが、電話や受付での秘書やスタッフの応対一つひとつが事務所や先生の印象に直結します。ただ、飲食店などとはちがいますから、単に明るければ良いというわけではなく、落ち着いた雰囲気が必要だと思います。

ですから、秘書の方々には毎日鏡を見て、“今日の服、メイク、振る舞いは事務所の印象を壊さないだろうか”と自問するような意識を持っていてほしいと思います。

Q5.ご執筆の際は、どのような点で苦労されましたか。

まず悩んだのは、どこまでおおっぴらに話そうかというところです(笑)。
秘書時代、あまりにもたまりかねたときには「恥ずかしいからこんなことはやめていただけませんか」って直接先生に申し上げたこともありましたが、それをあからさまにどこまで書くかということは悩みました。

もう一つは、私が秘書をしていたのは18年ほど前になりますから、どんなクレームがあっただろうかと思い出すのにも苦労しました。このあたりについては編集の方々からもヒントをいただき、思い出しながら書かせていただきました。

また、士業者の方を対象に講演もしていますので、そのときの表情や聞き方で気になるところも書かせていただきました。
ですから、これからこの本をお読みになるかもしれない先生方が「これって私のことじゃないか」って憤慨なさらない程度に書いたつもりですが・・・。

Q6.本書をまだ手にしていない方や読者の方へ向けて、一言お願い致します。

大変生意気なことを言わせていただくと、先生方にもっと“前向きな自信”を持っていただきたくてこの本を書きました。

士業者の方のなかには、早い段階から独立し、順調に所長になられた方もいらっしゃると思いますが、会社を退職してから独立なさる方も多くいらっしゃいます。独立するということは、会社のなかで給料をもらうこととはちがいますので、おいくつになられても“独立ってこんなに大変なのか”と感じられることはあると思います。

また、独立したい気持ちはあるけれど、不安のほうが大きいという方も多くいらっしゃるでしょう。だからこそ、自信を持っていただきたいんです。高い志があるからこそ士業になられたのだと思います。ならば“士業者としての資格をいかさないでどうなさいますの”って。偉そうな言い方ですが、そのような願いを込めて書きました。

順調な方もぜひこの機会にご自身の在り方について振り返っていただきたいですし、独立をためらっている方、独立したもののなんだかうまくいかない方、もっとがんばりたいという方に、“自信は他人から与えられるものではなく、自分のなかの心構えからくるもの”ということに気づいていただきたくて、生意気なことを申し上げたので、この本が皆様のお役に立つことを願っています。

そして、そんな心構えや姿勢の大切さは士業者の方以外にも共通しますので、少しでも多くの方に手にとっていただけたらと思います。

士業者が身につけたい顧客をつかむ面談術

判型:A5判220頁
ISBN:978-4-433-64206-8
定価:2,160円

<目次>
  1. 第1章 士業者としてのプライドが、その面談をダメにしていませんか?
  2. 第2章 面談は、ファーストコンタクトから始まっています
  3. 第3章 士業者のための顧客満足と接遇の基本
  4. 第4章 顧客の心をつかむ話し方・聞き方
  5. 第5章 誠実なアフターフォローとスタッフの心くばり