自主再生困難な社長さんの事業・生活・財産を守る最後の救済策

自主再生困難な社長さんの
事業・生活・財産
を守る最後の救済策

株式会社東京事業再生ER
代表取締役
公認会計士・税理士

橋口 貢一先生

Q1.
改めて、今回のご執筆のきっかけを
お聞かせいただけますか。

以前、「税理士・認定支援機関のための 中小企業の再生支援ガイド」(平成26年・中央経済社)を発刊した際、税理士や認定支援機関など、事業再生を支援する側の立場で執筆を行い、この本を引っ提げて税理士や認定支援機関向けのセミナーをしてきました。その過程で、税理士が事業再生に取り組むにあたり、企業の“外科型再生” に尻込みしてしまう姿勢に気が付きました。そうなってしまうと、私が本当に守りたいと考える社長まで声が届きません。そんなもどかしさを感じ続けるうちに、昨年11月、自分の再生支援先の社長が経済的苦境から自殺をしてしまいました。
この出来事を経て、自分の声をもっと経営難に苦しむ社長に届けなければ、自ら取り組んでいる事業再生支援の意義が成り立たないという思いを抱きました。
この強い思いを、決してセミナーだけではなく、出版物として全国の書店に並べ、伝えたいと考え、今回の執筆に至りました。

Q2.
ご執筆の際、どのような点を意識されましたか。

前回の著書は理論的に内容をまとめた専門書でしたが、今回は、自分の目の前に自主再生困難な社長がいるという意識を持って執筆しましたので、あるがままの自分の心を文章化することができました。
現在、全国40 万社の社長が、借入金の返済が困難な状況に置かれているにもかかわらず、どのような再生手法によりこの苦境を脱することができるかわからない状況にあります。これは、社長を取り巻く税理士や認定支援機関、金融機関も支援企業の「再生のゴール」を見据えられないまま中途半端な形で関わることにより、時々刻々と経営状態を悪化させているからです。
本書では、「自主再生が困難な状況下でも全く出口がないわけではなく、社長さんは再生の出口を知っている人に出会っていないだけなのだ」という点をぜひ伝えたい思いがあり、執筆の際に意識していました。

Q3.
一筋縄ではいかないリスケ企業の再生において、
先生の説かれる手順を正しく実施していくために
社長がまず相談すべき先はどこだと考えられますか。

本来、最寄りの税理士や金融機関から指導が受けられればよいのですが、現実的には再生支援のできる税理士はほとんどいませんし、金融機関も本来の債権者という立場からすれば、自主再生困難な会社への支援など期待できるはずもありません。そうすると、一般的には会社の債務整理の話が中心になりますので、最寄りの弁護士へ相談することになります。ただし、弁護士と言っても破産法や倒産法に精通した弁護士も限られていますから、まずはホームページなどを見て、これらに特化している弁護士へ相談して頂きたいと思います。
また、事業の再生については弁護士の法的処理とは反面的なところがありますので、やはりそこは、事業の再生に長けている再生コンサルタントや、自ら倒産を経験しており、経営難に苦しんでいる社長の目線で支援ができる再生コンサルタントのところに行くのが最も理想的だと思います。

注…リスケジュール。金融機関への返済猶予申請。

Q4.
本書では、会社の債務整理に終始せず、
社長の自宅や家族の絆を守るという人間的な部分が重視されています。
この点の重要性や、
その後の再生にもたらす影響をお聞かせいただけますか。

ほとんどの事業再生のマニュアル本において、債務整理や事業譲渡の話までは書かれていますが、社長の個人的な法的責任はどうなるのかをしたためた本が今までほぼなかった点にも今回の出版の大きな軸があります。
中小企業、とりわけ零細企業では、例えば家内工業のような側面を持っていたり、自宅と職場が一体になっているなど、家族との絆が非常に強い傾向にあります。
ですから、再生にあたっては、事業の基盤である自宅をまず守らなければなりません。
精神的な部分においても、社長はある日突然自主再生不能になったわけではなく、バブル崩壊後、長引く不況の中で世の中やビジネスの形が変わるにつれ、どこかで取り残され、徐々に経営状態が悪化し、それに伴い精神的に追い込まれてきました。
不安な状態を家族にも打ち明けられないまま問題を持ち越すと、決断の時を迎えてもなかなか踏み込むことができません。しかし、自宅を守り、家族との絆を守ることができれば、社長は一気に会社の法的整理を前提とした外科型再生などの厳しい決断ができるようになるのです。
その後の第二会社での再生にあたって基盤となるのは「自宅を守れたこと」「自宅を守り続けるために頑張ること」です。私自身の再生経験を振り返っても、自宅を守れたのは大きいことでした。この思いはぜひ社長と共有し、再生のために自宅を残しましょうと伝えたいですね。実際に、自宅を失ってしまった社長はなかなか踏ん張りが利きません。
まずはなんとか自宅を守り、第二会社での再生を果たしていただきたいと思います。

Q5.
企業を経営していく中で、経理部や財務部など、
経営危機の度合いを実感しやすい部署や社員もいるかと思います。
そのような人々が気を付けておくべきことや、
社長と話し合っておくべきことはありますか。

やはり、社長には社長のプライドや自信があります。しかし、その自信が確実に業績に通じるわけではありません。世の中の流れの中で需要がなくなれば業績は悪化します。
そういう状況の中で、経理・財務部の社員は会計データや資金繰りを通じて会社の現実の状況を直視しています。
社長は、経営状態の良い時はデータを重視する一方で、業績が悪化すると自らの理念やプライドに固守してしまい、経理・財務部との距離感も空いてしまいます。
経理・財務部としても、現実の会社の状況を押さえながら、良い方向に持っていくために社長と話し合いを続ける必要がありますが、どこかで決断もしなければなりません。
金融機関とのリスケが始まるタイミングや、リスケを継続するために会社が粉飾決算をせざるを得ない事態に至ったとき、ここはひとつのターニングポイントとなります。
誰かが社長の手綱を締められるとしたら、経理・財務部の方なのです。
その時には、上下の関係を越え、現実を踏まえた具体的な再生方法について、厳しくとも腹を割って話さなければなりません。
社長をないがしろにしたり、ターニングポイントを踏み外してしまうと、社長は決断するポイントを見失います。
これらをよくよく理解し、対応して頂きたいと思います。

Q6.
最後に、本書をまだ手にしていない方や読者の方へ向けて、
メッセージお願い致します。

平成25年3月に中小企業金融円滑化法が期限切れとなった時点で、約40万社の企業がリスケの状態で積み残されました。今リスケをしていなくても、いずれリスケをしなければならない企業が沢山あることを鑑みれば、今現在も倒産予備軍は60万社〜70万社あるのではないかと考えられます。
日本にある約260万社の中小企業のうち、4社に1社はこういう状況ですから、経営難で苦しんでいるのは社長だけではないのです。
しかし、その中で「どうやって再生のゴールを見つけるのか」これは非常に困難なことです。
経済産業省も中小企業庁も色々な認定支援機関制度を作りながら中小企業を後押ししようとしているものの、現実的な再生のゴールを支援できる機関はなかなかなく、最終的には誰も社長を助けることができない状況に陥りがちです。
本書を通じて、私の経験や会社の法的整理を前提とした外科型再生という考え方をそれぞれの社長の今の状況に当てはめて考えていただき、なぜ、何年ももがいていたのかを振り返ったときに、今まで周りにいた方のアドバイスと本書の内容に大きなギャップがあることに気付いていただければ、そこから光が見え、私の言う「再生のゴール」をめがけて決断できると思います。
最後は社長さんの勇気、英断に期待したいと思いますので、ぜひ頑張って頂きたいですね。

橋口 貢一先生プロフィール

昭和63年に公認会計士試験第2次試験合格後、野村證券株式会社・新日本有限責任監査法人等を経て、平成7年にベンチャー企業の起ち上げに携わり、有名ベンチャー企業のCFOとしてIPO(株式上場)を目指すも、平成18年にグループ負債総額50億円の倒産を経験。
その後、膨大な倒産処理業務を行うと同時に、5億円に及ぶ個人債務を50分の1の1,000万円に減額し、自宅と資格(公認会計士・税理士)を守り切るという奇跡的な再生経験をする。
平成24年、「株式会社東京事業再生ER」を設立。自らの経験を生かして自主再生が困難な中小企業とその経営者の生活・財産を守り切る(外科型)再生支援業務を開始。

自主再生困難な社長さんの事業・生活・財産を守る最後の救済策

自主再生困難な社長さんの
事業・生活・財産を守る最後の救済策

判型
四六判224頁
ISBN
978-4-433-41516-7
定価
2,160 円(税込)
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