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1.受    和 田 尚 久(作新学院大学)

2.受賞論文  「ごみ処理手数料と地方自治」

        日本地方自治研究学会誌『地方自治研究』第21巻第1号、20063

3.受賞理由

 本論文は、本学会会員による共同研究「分権化にふさわしい地方税・歳入制度の研究」における著者の担当部分から成っている。著者は、本論文において市町村の「ごみ処理手数料の有料化」を検討し、一般廃棄物処理費用を賄う方式として二部料金制を提言している。すなわち、自治体経営の発想からすると、ごみ処理料金の設定方法は原価補償主義が適当であるとし、これによって一般廃棄物処理有料化の目的はほとんど達成できると主張している。

財政収入目的と環境政策目的の双方をある程度満足させるには、従来のような従量制料金制ではなく、定額の基本料金部分と従量料金部分とを組み合わせた二部料金制が適当であるとする。なぜなら、従量料金部分でごみ排出抑制という環境政策目的を満たし、定額の基本料金部分で財政収入目的を満たすことができるからである。少なくとも一般廃棄物処理事業の独立採算化(企業化)を目指すのであれば、二部料金制が妥当であるとする。

 ごみ処理料金制について詳細な統計資料に基づいて論及した本論文は、今後、この領域の研究と実務の双方に寄与すると思料される。よって本論文は日本地方自治研究学会賞に値するものである。