非公開会社における少数株主対策の実務
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序章 少数株主が事業の継続・承継に与える実務上の影響2 「少数株主」という言葉を聞かれたことがある方は多いかと思います。例えば、以下のような株主構成の株式会社甲社があったとします。甲社は、すべての株式に譲渡制限(株式の譲渡をするには会社の承認が必要という制限)が付されている非公開会社です。B60株180株(3/5)20株甲社 発行済株式総数:300株20株10株10株CDEF経営株主A 甲社には、過半数を超えかつ代表取締役でもあるA以外に、個々の議決権割合は多くありませんが、株主「B・C・D・E・F」が存在します。このような株主は、一般的に「少数株主」と呼ばれます。本書でも、このような株主のことを少数株主と呼ぶこととします1。一方で、Aの立場にある株主を文脈に応じて、「経営株主」または「支配株主」と呼びます。 中小企業において、このような少数株主が複数存在する(株式が分散している)主な理由としては、過去の税金対策などにより支配株主以外に株式を保有させたこと、相続を繰り返し株主が分散してしまったこと、会社の役員・従業員などのモチベーション維持・強化のために株式を保有させたこと、関係強化等の目的で取引先に株式を保有させたことや旧商法時代の発起人の人数規制(246ページ非公開会社における少数株主と株式分散の理由11) 法律上は、少数派株主とした方が適切なケースもありますが、本書では一般呼称に従います。

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