相続税の実務QA
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土地所有者等の居住用住宅を組み込んだ賃貸住宅の経営による対策(特定居住用宅地等の活用)Q1地価の高い私鉄沿線の駅前に父が所有する未利用地があり、この度、その有効活用及び父の相続税対策(貸家建付地評価及び小規模宅地等の相続税の課税特例の適用)を目的として、住宅メーカーの提案に基づく賃貸住宅の経営を検討しています。また、父も高齢となってきたことから、現在の郊外地での一戸建住宅の居住(父と母の2人暮しです。)では足腰の弱まりから不安を感じるようで、もし、賃貸住宅を建築するのであれば、オーナールームを設けて、その一室に引っ越ししても構わないとも考えているようです。上記の話を相続税に詳しい友人にすると、その賃貸住宅の一室に父母が居住し、将来における父に係る相続開始時には、母が当該賃貸住宅の敷地の全部を相続し、相続税の申告期限までに貸家経営を承継し、かつ当該貸家経営を継続すれば、ただ単に敷地(有効活用検討地)の全体に賃貸住宅を建築するよりも非常に有利になると助言してくれました。この助言は本当に正しいのでしょうか。また、正しいとするならば、どのような仕組みによるのでしょうか。更に、父所有地(有効活用検討地)の現状の評価及び建築予定の建物に関する資料が下記のとおりであるとした場合に、父所有地についてどのくらいの対策効果による差額が生じることになりますか。土地地積……330㎡相続税評価額……330,000千円(自用地評価額)建物4階建ての建物の建築を予定しており、各階の床面積は同一で200㎡ずつになります。もし仮に、父母がこの建物に居住する場合には、4階(床面積200㎡)に入居する予定です。その他借地権割合……60%借家権割合……30%父は、今から20年前に不動産投資を勧められ、A市(地価水準は、対策を検討する未利用地に比して相当低いと認められます。)内において、事業的規模で不動産貸付業を開始しています。Aあなたの友人の助言は正しいものといえます。この考え方の形成過程を示しますと下記のとおりになります。①土地所有者の居住用住宅(自用家屋)を組み込んだ賃貸住宅用建物の敷地の用に供されて第3章相続税対策(事前・事後対策)編1029

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