相続税の実務QA
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相続税の計算体系(概要)Q2相続税の3つの特徴については理解できました。次に、相続税の計算体系の概要について簡略に説明してください。Aする『相続は、死亡によって開始する。』との取扱いが用いられているものと理解されます。(注)『借用概念』とは、ある租税法規において用いられている用語について直接的な定義が当該租税法規(通達等を含みます。)において明示されておらず、これを他の法律領域(これにも規定されていない場合には、日常の社会生活等において経験則的に用いられている一般的な解釈理解)に求める(借用)ことをいいます。『遺産取得税体系』であることわが国の相続税は、被相続人がどれだけ財産を残したのかに主眼を置いて課税する(このような課税体系を『遺産税体系』といいます。)のではなく、原則として被相続人から財産を取得した各相続人等の状況に応じて課税し、納税を求める体系(このような課税体系を『遺産取得税体系』といいます。)が採用されています。ただし、現行の相続税の計算体系においても、その計算体系の一部(具体的には、相続税の総額の計算)に遺産税体系が採用されています。(具体的には、10Q2を参照)『超過累進税率』による課税であることわが国の相続税の存立意義の1つとして、相続税課税を通じての富の再配分機能が挙げられます。この目的を達成するために、わが国の相続税の税率構造は、いわゆる『超過累進税率』(課税対象額を複数の段階に区分し、各段階ごとに異なる税率を適用するものとされており、かつ、当該適用される税率は上位の段階に進むに従って、順次、高率が適用される方式)が適用されています。現行の相続税の計算体系では、最低10%から最高55%までの8段階の超過累進税率が適用されています。(具体的には、10Q2を参照)相続税の概略的な計算体系として、課税価格の計算、各人の算出税額の計算、各人の納付・還付税額の計算の3つに区分すると理解が容易になると思われます。具体的には、解説の図表及びQ3からQ5を参照してください。解説相続税の計算体系(概要)を理解するためには、下記に掲げる図表『相続税の申告書第1表』に基づいて確認することも1つの方法です。相続税の申告書の第1表では、相続税の計算体系を下記のからに掲げる3区分に大別しています。(注)下記からに掲げる解説の説明では、相続時精算課税制度、農地等納税猶予制度、株式等納第2章相続税申告編267

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