中小建設業のための“管理会計”読本
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に行使されることを求めるものです。具体的には、発注機関によって公正な仕組みの維持が図られているかどうかが課題です。第二には、この政策に参加する企業もしくは団体が、関係する法規や仕組みを真摯に遵守しようとする姿勢です。近年、この観点の理念は、企業の「コンプライアンス」として重視されています。したがって、公共工事政策の具体化においてなされる企業評価すなわち「良き経営体」の選択は、この種のコンプライアンスに対する評価項目を重視しなければなりません。 公共事業政策における効率性は、発注者サイドにおいては、同一の性能(機能)をアウトプットする前提において、最も低いコストを選択する方式の確立であると考えます。受注企業における効率性は、公共工事に関わる企業に最も求められなければならない要件でしょう。 一方、公共事業政策における透明性は、会計制度のあり方と深く関わっており、公的活動に関わる企業のアカウンタビリティ観と有機的に連携しなければなりません。したがって、建設業においては、「良き経営体」の構築と深く関わる会計情報システムの構築が必須なのです。 わが国において、建設業を「良き経営体」として体質改善するための課題には、少し抽象的な表現ですが、次のような視点が強調されるものと考えます。  ア.「公」の事業への参加意識の的確な確立  イ.事業への参加と運営に係るコンプライアンス意識の醸成  ウ.アカウンタビリティ(会計説明責任)に関する意識の高揚  エ.事業遂行に係るコスト意識・コスト感性の醸成  オ.受注事業として、競争市場の差別化戦略への意欲  カ.品質・環境のプロダクト化(プロダクト・コストへの算入)に対する意欲 いずれにしても、それらの視点を堅固にネットワーク化して構築する仕組みは、いうまでもなく会計情報システムに依存するものと考えます。はじめに◆3

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