会計と税務の相違・申告調整実務
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第8章 海外取引の調整268の税率を使用することも認められています(地令9の7⑦、48の13⑧)。7 「控除限度超過額」と「控除余裕額」 外国法人税を納めるタイミングは、国外所得金額が発生する事業年度とずれることが予想されます(一般的には納税のタイミングが遅れることが考えられます)。これに対処するため、その事業年度の外国法人税がその事業年度の控除限度額を超える場合は「控除限度超過額」として、またその反対に、その事業年度の外国法人税がその事業年度の控除限度額に満たない場合は「控除余裕額」として、翌事業年度以降3年間にわたり繰越すことが認められています。 上記の繰越しの充当方法は、最も古い事業年度のものから順番に、かつ国税そして地方税の順に充当します(法法69②③、法令144、145)。8 外国法人に係る外国税額控除 外国法人に対する日本での課税方式はOECDの方針と足並みをそろえ、これまでの総合主義(日本源泉所得に対して法人税の総合課税をする方法)から帰属主義に変更されました。変更後は海外で得た所得であっても、日本の恒久的施設に帰属するものは日本で法人税の課税所得に合算して総合課税がされます(法法141一)。 これにより従前とは異なり、外国法人の日本の恒久的施設に対しても外国税額控除が適用されることになりました。具体的には「恒久的施設帰属所得」(法法141一イ)のうち国外所得金額に対応する外国税額について適用されることになります(法法144の2、法令193~201)。◆外国税額の「税額控除」と「損金算入」の選択 その事業年度で納付した外国法人税は、その一部のみ外国税額控除の適用を受け、残りの外国法人税の額について損金算入をするという処理は認められず、外国法人税額の全部が損金不算入となります(法41、法基通16―3―1)。従って、各事業年度で「税額控除」と「損金算入」のどちらを選

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