会計と税務の相違・申告調整実務
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1 | 利益と所得の違いとその調整方法3利益と所得の違いとその調整方法設 例 会計上の利益と法人税法上の所得の違いを教えてください。ポイント!法人税法上の所得は、会計上の利益に一定の調整を加えて求めます。解 説 会計上の利益は、一事業年度のすべての収益からこれに対応するすべての費用を差し引いて計算します。 これに対して、法人税法上の所得は、一事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除して計算します(法法22①)。1 会計と税務の目的 会計と税務の目的が異なるため、会計上の利益と税務上の所得は、異なる概念です。 企業会計は、企業の財政状態や経営成績に関して、株主や債権者などの利害関係者に対して、真実な報告を提供することを目的としており、一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に従って利益を計算します。 これに対して、税法は、税金の賦課と徴収を目的としており、法人税法では、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算される企業会計上の収益や費用の概念を基本とするものの(法法22④)、「別段の定め」(法法22②③)を規定し、申告調整を行って所得を計算します。1

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