会計と税務の相違・申告調整実務
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 | 1新版の発刊にあたって 日本企業を含め、各国の企業取引はますますボーダレス化しています。そのような中で多国籍企業が各国の税制や国際課税ルールの差異を利用して課税所得を人為的に操作し、課税逃れを行うことが、先進国の間で問題視されています。国際取引による課税逃れに対応するために、OECD租税委員会によるBEPS(Base Erosion and Prot Shifting)行動計画の最終報告が2015年10月8日にG20財務大臣・中央銀行総裁会で採択されました。日本もこれを受けて、企業の海外における事業展開を阻害することなく、国際的な租税回避により効果的に対応するような税制の整備や改正を進めています。 新版である本書は、平成29年度税制改正も反映しつつ、より実務で重要な論点にフォーカスした設例を増強するとともに、初版の設例の選別も行いました。平成28年2月の初版に続き税務別表も織り込みながら、より実務に役立つような論点について会計と税務の取扱いの相違を解説しています。 具体的には冒頭の背景を意識して企業にとって身近となっている海外取引の調整について、初版よりも多くの誌面を割き解説をしました。移転価格税制については日本における制度概要をはじめ、税務上認められる独立企業間価格の算定方法、平成28年度税制改正で盛り込まれたドキュメンテーションについて全体像が分かるように、なるべく平易に解説をしました。また平成29年度税制改正ではタックスヘイブン税制の抜本的な見直しが盛り込まれました。新制度は所得の合算対象となる外国関係会社の平成30年4月1日以降開始事業年度から適用されます。本書はこの新制度についても解説しています。

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