家族信託をもちいた財産の管理・承継
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第2章 家族信託の活用と留意事項144相続人等への財産の 承継1 資産承継<帰属権利者型>[1] ニーズAは多数の賃貸用不動産を所有しているが、高齢となってきたことに伴いその管理が困難になってきていると感じている。Aはもともと、自身の資産のうち不動産については長男Bに、有価証券については次男Cに承継しようと考えていたため、これを機に不動産管理についてはBに委ね、そのままBに承継できたらよいと思っている。このような場合に、どのような信託とすれば、Aのニーズに応えることができるか。[2] 結 論Aは、自身を委託者兼受益者、Bを受託者として、賃貸用不動産及び若干の金銭を信託することが考えられる。この場合、受託者であるBは、信託された賃貸用不動産を管理し、必要に応じてその管理のために信託された金銭を使用する。また、A死亡時には信託が終了し、帰属権利者としてBを指定することとすることで、Bに不動産を円滑に承継することができる。[3] 留意事項(1) スキームの内容Aとしては、自身の有する多数の賃貸用不動産について、もともとA自身が所有者として賃借人に対する賃貸借に係る契約の賃貸人として、賃借人の(管理会社を通じた)審査や契約書への押印、管理会社に対する各種の2

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