税理士春香の民法講座
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-48-第1章国税通則法と民法の接点不当利得とは山 川  春香さん、不当利得についてはどんな例があるのかな。春 香  税金に関する裁判では、更正の請求とは別に、国に対して不当利得の返還を請求しているケースが見受けられます。ポイントポイントポイント不当利得 不当利得とは、一度債務を弁済した後に誤って二重に弁済したというように、一方に損失を生じた方がこれによって利得を受け、法律がその利得の返還を命じる制度であるが、当事者はこれによって利得返還の債権債務を取得することになる(我妻榮・有泉亨・川井健『民法2 債権法(第三版)』(勁草書房、2009年2月)6頁)。春 香  以前に調べたことがある、平成24年4月25日の広島地裁判決*33を覚えていますか。山 川  ああ、修正申告をして、いったん追加税額を納めて、その修正申告の前年以前の更正処分につき裁判で争って勝ったので、改めて修正申告によって余分に納めた税金を取り返そうとしたけど、ダメだったって事件だよね。春 香  そうです。あの事件では更正の請求ができる期限はとっくに過ぎてい更正の請求以外に、国に対して税金の不当利得を請求できるか第₈話*33 *8前掲判決(TAINS Z262-11935)

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