民法成年年齢引下げが与える重大な影響
32/34

第1節 成年年齢の引下げに伴う影響の概要等109契約による場合の影響を中心にまず説明し、その後に、労働契約以外の契約による場合の影響について説明します。仕事の「契約」仕事をする場合の契約形態について、労働契約、請負契約、委任契約などがあると説明しました。これらの契約のうち、労働契約は、他人(使用者)の指揮命令に従って仕事をすることが求められるのに対して、請負契約や委任契約は、他人(注文者や委託者)の指揮命令を受けることなく、自らの判断で仕事をするという点に違いがあります。また、請負契約と委任契約の違いは、請負は仕事の完成が必要であるのに対して、委任は仕事の完成が必ずしも求められないという点にあります。通常、例えば、会社に就職したり、アルバイトとして仕事をしたりする場合は労働契約、大工さんが家を建てる場合は請負契約、医師が診療する場合は委任契約と考えられていますが、実際には、同じような仕事に見える場合でも、法的には、労働契約による場合と請負や委任契約による場合のいずれも存在していますので、具体的な事情に応じてどのような契約形態であるかを判別しなければなりません。そして、本文に説明しているとおり、労働契約かそれ以外の契約かによって、労働基準法などの労働者保護規定の適用の有無などが大きく異なりますので、仕事をする場合、契約内容を十分吟味して、自分の仕事はどのような契約形態で行われているのかをしっかりと確認することが大切です。

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る