民法成年年齢引下げが与える重大な影響
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第5章 仕事―労働契約―108年は17.3%、平成24年は16.5%となっており、男女・時代を問わず、多くの未成年者が仕事に関わっていることが分かります。2仕事に関する未成年者の保護規定の概要仕事に関わる場合、法律関係としては、委任契約や請負契約、業務委託契約による場合もありますが、大部分は、会社(使用者)と労働契約を締結することになります。委任契約や請負契約による場合、未成年者は、契約の締結には法定代理人の同意が必要になるなどの民法による保護を受けます。他方で、労働契約による場合には、民法による保護に加えて、労働基準法などの労働者の保護規定の中にある未成年者を保護するための規定に基づく保護も受けることになります。3成年年齢の引下げに伴う仕事への影響の概要このため、成年年齢が満20歳から満18歳に引き下げられた場合、新たに成年となる18歳、19歳の者は、委任契約や請負契約、業務委託契約による場合は民法による保護規定、労働契約による場合は民法と労働基準法による保護規定の両方の適用を受けることができなくなります。これは逆に、18歳、19歳の者が、親権者などの法定代理人の同意がなくても、労働契約を締結して仕事し、その仕事によってもらった給料を自由に使うことができるという、社会から一人前の大人として取り扱われることを意味します。このような変化は、自由が広がるというメリットがありますが、他方で、これまでのように親権者などの保護を受けられず、不利な労働契約を締結してしまい、過酷な労働を強いられる可能性もあるなどのデメリットも懸念されます。そのため、このような想定を踏まえ、成年年齢が引き下げられた場合、どのような影響があるのかを具体的に検討する必要があります。以下では、仕事への関わりは労働契約によることが多いことから、労働

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