実務に対応する税務弁護の手引き
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11枠を理解することが肝要であるので、その限度の記述に留めた。 第5章(消費税)では、法人税と異なる消費税の独自性や課税要件について概説する。税務紛争の場面では消費税のみが問題となる事例はさほど多くはないのであるが、基本概念が法人税とだいぶ異なるので、基本的なところに限定して述べることとした。 第6章(相続税・贈与税)では、相続税、贈与税の性質、財産評価の方法、遺産分割、遺留分減殺請求との関係等について、民法を踏まえて説明する。なお、弁護士業務との関係で問題となりそうな箇所は詳しく検討することとした。(5) 第7章(信託の課税関係)では、信託税制について解説する。信託税という単独の法律があるわけではなく、所得税法、法人税法、相続税等に、信託税制に係る条文が設けられている。平成18年の信託法改正、平成19年の信託税制改正によって、近時、民事信託の活用の必要性が説かれているところ、弁護士、税理士として信託に関わる際には信託税制の基本を理解することが不可欠である。また、今後、その組成された信託関係を巡って課税庁と納税者の対立する場面が増加すると予想されることから、本章を設けることとした。(6) 第8章(加算税)では、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税等の規定と解釈論について解説する。これらの規定は国税通則法におかれている。税務紛争の場面では加算税の適否のみが問題になることも少なくない。(7) 第9章(第二次納税義務)では、国税徴収法第32条以下に規定がある第二次納税義務について解説する。第二次納税義務は、納税者以外の第三者に対して課税、徴収がされる規定であり、義務者の抵抗感が強く、また、事前に課税庁がさほどの事情聴取を行わずに処分(納付告知処分)を行うケースがあるので、しばしば税務紛争を生じさせる。(8) 第10章(国税当局の組織構造と税務調査)では、実際に課税庁内部の組織構造がどのようになっているのか、税務調査はどのように行われるのかについて概観する。(9) 第11章(税務紛争)では、以上の章を踏まえ、争訟の対象となる課税処分等にはどのようなものがあるかを整理した上で、再調査の請求(旧異議申立て)、

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