実務に対応する税務弁護の手引き
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4  序章 租税法の独自性(1) 国家の立場から見て、一から租税の仕組みを構築しようとする場合、どのような制度をつくるだろうか。 まず、どのような税目を作るかという問題がある。国民に税負担の余力がなければ、税の負担を求めることは難しい。国家による便益は皆が享受するからと言って、実体面のグランドデザイン(租税法は何に課税するか)2 民事訴訟法=国税通則法、行政事件訴訟法 民事執行法=国税徴収法 刑事訴訟法=国税犯則取締法 国税通則法は、国税の基本的な事項及び共通的な事項を定めており、国税債権の発生、消滅等を規定する。これは、民法で言えば債権総論に当たる。また、処分に対する行政上の不服申立(再調査の請求、審査請求)についての規定もおいており、これは民事訴訟法に該当すると言えよう。 各種税目の法律(所得税法、法人税法等々)は、所得税、法人税等の課税要件を主に規定している。その意味で、債権各論に当たる。 なお、租税特別措置法という法律がある。これは、一定の政策目的の実現の為に、税を優遇する措置を規定したものである。よく知られているところでは住宅ローン特別控除(措法41)等がある。租税特別措置法は一つの法律であるが、所得税法の特例(第二章)、法人税法の特例(第三章)、相続税法の特例(第四章)、消費税法等の特例(第六章)というように章が分かれており膨大な条文数からなる(六法全書一冊分くらいになる)。公平性と政策目的のバランスを取るのは高度の政治的問題であり、毎年の税制改正によって頻繁に改正がある。 国税犯則取締法は、脱税に係る刑事手続について規定したものであり、刑事訴訟法(の捜査手続の部分)に相当する。 以上は非常にざっくりとしたイメージであるが、どの法律にどのような規定があるのかを感覚的に把握するには有益であろう。

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