国外財産の移転・管理と税務マネジメント
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はしがきいま、富裕層を中心に国外財産の保有が増加してきています。純金融資産を中心に5,000万円以上の国外財産を有する富裕層は、平成23年には約350万世帯であったものが、平成27年には約436万世帯と増加しています。パナマ文書事件以後のG20やOECDの動きを挙げるまでもなく、先進国を中心に、富裕層への課税強化の動きは避けて通れない流れとなっています。日本においても、平成30年以降、預金者情報をマイナンバーにより検索等する仕組みが整う予定であり、富裕層への課税強化網は着実に構築されてきています。本書は、パナマ文書事件以後の国際的な情報交換制度等が機能強化されてゆく課税環境の下で、富裕層を含む納税者、また税理士等専門家が、国外財産を税務上の法令順守の観点から適切に管理・移転・相続させる一連の流れについて、各取引段階での所得税、法人税、相続税(贈与税)課税関係の要点を把握し理解できることを目的としています。国際税務調査の方向性として、匿名性を悪用した犯罪等の防止のため、法人の実質的支配者の把握のための国際協調を推進する意思が明確化されました。資金洗浄(マネーロンダリング)等への対策の観点も踏まえ、法人(ペーパーカンパニー) 等の脱税、行き過ぎた租税回避行為については、その企業を実質的に支配する自然人(実質的支配者)の情報収集が積極的に行われ、特定されてくるでしょう。本書第1章では、税務調査における「実質的支配者」の把握の意義等を解説し、タックスプランニング(租税計画)を提供してきた税務専門家においても、租税条約を含む各国の租税法と私法(契約等)を駆使したこれまでの国際課税のリスク軽減の手法にも影響が及ぶ点を示しております。

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