国外財産の移転・管理と税務マネジメント
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第2節  日本における国外財産に対する課税強化21日本における国外財産に対する課税強化第2節各国の課税当局は、これまでに説明してきたように、財政の健全化のため、また、パナマ文書が明らかにした租税負担の不公平、不公正を解消するために、国境をまたいだ国際的な協力体制を構築して、富裕層の国外財産や国際的な租税回避に関する情報収集体制の構築を急速に整えています。国外財産の調査は困難で簡単に行うことはできませんので、その前に、国外財産に関する情報収集や情報の共有化を行っていくことになります。日本においても、国際的な取組みへ積極的に貢献するために、ここ数年、富裕層の国外財産に対する課税強化や租税回避へ向けた新制度等を下記のとおり実施し、国外財産に関する情報収集に積極的に取り組んでおり、課税範囲の拡大、課税の強化に有効な制度の整備を急速に推し進めています。●国外財産調書制度(平成24年度改正)●財産債務調書制度(平成27年度改正)●国外転出時等課税制度(平成27年度改正)●非居住者に係る金融口座情報の自動交換のための報告制度(平成27年度改正)●多国籍企業情報の報告制度(平成28年度改正/BEPS行動13)●租税条約、情報交換協定の締結による情報交換ネットワークの拡大今後は、「BEPSプロジェクト」の勧告等を踏まえて、実施のための国内における様々な税制改正が数年かけて行われていくことになります。

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