本家の株主・分家の株主 立場で異なる自社株評価と相続対策
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られるよう、できるだけ平易に解説することを目的としています。第1章では、経営者一族の相続人等が相続する自社株は、例外なく高い相続税評価額によって評価されるような誤解がありますが、同族株主等が取得する自社株は、「本家の株主」※と「分家の株主」※に区分でき、分家の株主が取得する自社株は1株当たりの発行価額程度の金額で評価されることを分かりやすく解説してあります。第2章では、本家の株主の自社株対策については、単価の引下げと所有株式数の減少を図れば相続税評価額は軽減されます。そこで、基本的な内容に限定して、簡単にできる対策を中心に解説してあります。第3章では、本家の株主が平成30年度税制改正において創設された「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予制度の特例措置」の活用に当たっての留意点について、設例を用いて解説してあります。第4章では、自社株の引下げ対策を実行したら後継者へ株価の低いうちに移転させることが必須ですが、後継者の暴走を牽制するために、現経営者の支配権を維持しながら事業承継を行う具体的な方法について解説してあります。第5章では、「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」のどこを見て、どのような対策を実行すれば株価の引下げにつながるのかなどについて、評価明細書を用いて具体的に解説してあります。本書が、事業承継問題に悩んでいる経営者や税理士事務所の担当者にとって、自社株対策の基本を理解し、活用することの一助になれば幸いです。なお、文中意見に渡る部分は、私見ですので、念のため申し添えます。平成30年6月税理士山本和義※「本家の株主」「分家の株主」は著者による造語です。

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