本家の株主・分家の株主 立場で異なる自社株評価と相続対策
2/26

はしがき優秀な経営者は、会社経営において、毎期決算書を分析し、かつ、経営計画書を作成しています。そして、月次決算を行い、毎月経営計画書と実績の差異を分析し、必要な対策をタイムリーに実践し好業績を残しておられます。しかし、相続対策においては、取引相場のない株式等(以下「自社株」といいます。)の相続税評価額すら確認できていない経営者も少なからずいらっしゃいます。これでは、羅針盤を持たずに航海にでるようなものです。決算書が企業経営の「見える化」に役立つのと同様に、自社株の相続税評価額を評価明細書を基に詳細に把握すれば、それに基づいてさまざまな自社株対策を行うために活用することができます。具体的には、株価の算定(相続税評価額)を通じて、会社規模区分、類似業種比準価額及び純資産価額を確認すれば、何をどうすれば株価が下がるかが分かります。特定の評価会社に該当していれば、特定の評価会社外しも優先すべき課題と考えられます。現状把握ができれば、換金処分困難な財産である自社株が相続財産の大半を占める場合には、相続税の納税資金対策が喫緊の課題であることが明らかになり、納税資金の過不足について数値で確認することができます。また、会社に必要な資産、たとえば社長個人の土地の上に会社が建物を建てて利用している場合や、社長個人の土地・建物を会社が賃借しているときには、それらの不動産等を会社に譲渡するなどして、後継者が事業承継に必要な資産も、自社株を相続することで、すべて承継できるようにしておくことも重要です。そこで、本書では、①自社株対策は難しいので、一般の会社経営者でも分かるような解説本がほしい、②専門家にとっても入門書のような本がほしい、③自社株を相続する人から見た解説本がほしい、という実務での要望に応え

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る