本家の株主・分家の株主 立場で異なる自社株評価と相続対策
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同族株主に該当する人が、取引相場のない株式等(以下「自社株」といいます。)を取得する場合に、すべての同族株主が原則的評価方式によって評価されるのではありません。同族株主のうちでも、支配権を有しない株主は特例的評価方式によって自社株を評価することができます。同族株主のうち支配権を有する株主(以下「本家の株主」といいます。)が取得する自社株は、「原則的評価方式」によって評価されます。そのため、1株当たりの利益金額が高い会社や、含み益や内部留保の厚い会社などの自社株の相続税評価額は高く算出されます。自社株の相続税評価額の総額は、「単価×所有株式数」で求められることから、本家の株主の自社株対策では、①単価を引き下げる、又は、②所有株式数を減らす、あるいは、③両者を組み合わせて対策(詳細については、第2章参照)を実行することで、自社株の評価額を引き下げることができます。一方、同族株主のうち支配権を有しない株主(以下「分家の株主」といいます。)の対策では、原則的評価方式の適用を受けることなく、「特例的評価方式」によって評価することができることから、自社株の相続税評価額は大した金額になることなく、相続税の負担は軽微であると思われます。そこで、この章では、分家の株主とはどのような人をいうのか、特例的評価方式とはどのような評価方式で、同族株主のうち分家の株主として特例的評価方式で自社株を取得するための具体的な対策について解説することとします。本家の株主であっても、分家の株主の自社株の引下げ対策の内容を理解しておけば、分家の株主の相続人が自社株を相続する際のアドバイスを通じて、自社株の相続税の負担を大幅に軽減することができます。そのことが、分家の株主の相続人から本家の株主が自社株を買い取るなどの場合に、分家の株主の相続人は、自社株を相続するときのコストがほとんどかからなかったことから、売買価格の交渉において友好的な関係で進めていくことができることが期待できます。2

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