都市農地の特例活用と相続対策
3/18

はじめに(初版) 平成3年の生産緑地法、相続税の納税猶予制度の改正、固定資産税の長期営農継続農地制度の廃止は、三大都市圏における農地所有者や耕作権者に大変な影響を与えました。 その後も借地借家法改正による定期借地権制度、定期借家権制度の導入、介護保険導入に伴う高齢者向け施設の普及、都市計画法改正に伴う市街化調整区域の市街化区域編入や都市計画区域の大幅変更、地方分権の流れでの市町村合併とそれに伴う固定資産税課税の強化など、相次ぐ法改正で農地を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。特に、平成16年6月の「農業基盤強化促進法」の改正は、ここ数年強化されてきた農地の肥培管理についての監視をより一層厳しくするものと思われます。このことは、固定資産税の税負担と相続税の納税猶予制度の適用の有無に大きな影響を与えることになります。 本書は、農地とは? から始まって、農地に関わる税金の基本とその応用、生産緑地制度の概要と税金との関わり、市町村合併や都市計画区域の変更に伴う税の取扱いとその対応策、相続発生時の農地についての生産緑地を継続するか否かの判断基準、相続税の納税猶予制度の選択の有利・不利、農地を宅地転用した後の有効活用と税金をまとめています。 農業後継者が不足している中、農業基盤強化促進法は農業の大規模化と法人による農業経営に大きく舵を切りました。すべての人間が生きてゆくために必要な新鮮でみずみずしい作物を丹精込めて作り、多くの人々を守るために農業を続けていくことはすばらしいことです。時代の変化と共に農業の形態は変化するでしょうが、このことは将来も変わることがありません。 一方、農地を転用して大規模商業施設や集合住宅として活用され、多くの人々が集い、暮らしてゆくそのための敷地として利用していくことも、地域の人々への重要なお役立ちといえます。いずれの道を歩むにしても、皆様が先祖から受け継いでこられた農地を次の代に着実に引き継ぎ、守り、活用する、本書がそのお役に立つことができれば著者一同望外の幸せです。   平成17年7月吉日 税理士 今仲 清 税理士 下地盛栄

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る