税理士のための遺言書活用と遺産分割テクニック
2/16

は じ め に 遺言は、今まで仲の良かった者が、相続を巡って骨肉の争いを起こすような悲劇を防止するため、遺言者自らが、自分の残す財産の帰属を定め、相続を巡る争いを防止しようとすることに主たる目的があります。 遺言のないときは、民法に定める相続人の相続分を基に、共同相続人間で遺産分割の協議をして決める必要があります。 協議がまとまらない場合には、家庭裁判所で、調停又は審判で解決してもらうことになります。その場合、調停又は審判で遺産分割が決まっても、相続人間における争いなどによって精神的な負担は計り知れないものになることも予想されます。 遺言書がない場合遺言書がある場合権利義務の承継一切の権利義務を包括的に相続人が承継被相続人の遺志が優先され、遺産分割協議を経ることなく、指定された者が指定された財産を取得する相続財産共同相続人全員の共有財産相続財産の取得者遺産分割協議によって決めるその他分割協議が調うまでの間は、①財産自体を処分・換金等できないが、相続分に応じた権利は譲渡できる、②賃料収入などは、相続人が相続分に応じて取得する、ことになる遺留分の侵害がある場合、遺留分権利者から遺留分の減殺請求を受けることがある  本書は、遺言書を作成しようとする場合の実務書として役立つように、第1章「遺言書・遺産分割の実務知識」、第2章「10の事例で検証する遺言書作成時に気をつけたい税金の問題」、第3章「状況と要望にあわせた遺言書作成の具体例」にまとめて解説しています。 執筆者は全員税理士として資産税実務に精通し、遺言書が相続税等の課税に影響を与える部分も少なくないことから、多くの事例を持ち寄って議論し内容を検証してあります。 本書を参考に、遺産争いを防止することに役立つ遺言書を作成し、その結果、遺産がスムーズに相続人等に承継され、税制上の優遇制度を上手に活用し、より多くの財

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る