負動産スパイラル
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はじめに1.負動産スパイラル現在、日本の不動産は有史以来の危機に瀕しています。人類と不動産の歴史は長く、紀元前3000年ころ南メソポタミアで不動産に関する売買が行われていたとの記録もあります。人類が生きていくうえでこれまでずっと不動産は価値のあるものでした。古来より「不動産」は富を生みだすとともに、それ自体も富の象徴だったのです。しかし、現在の日本では、その富の象徴たる「不動産」が、所有者に牙をむく「負・動産」に変質しているのです。「負動産」は富を生み出しません。それどころか所有者の大切な資産をかすめ取っていきます。「負動産」を所有すればするほど、所有者は疲弊し、最後はすべてを失うのです。この日本で最も多くの「負動産」を所有しているのは、間違いなく地主の方たちです。かつては価値があったはずの「不動産」のほとんどは、今や「負動産」であるといっても過言ではありません。そして、残念なことにその動きを加速させる人達がいます。彼らは、その不動産が実際は「負動産」であることを隠して地主の方に近づいてきます。彼らは、先祖伝来の不動産が「負動産」であることを認めたくない地主の方に甘言を弄し、無駄な相続税対策や、儲からないアパート建設を行わせ被害を拡大するのです。さらに、この「負動産」アパートは売り出され、にわか不動産投資家(例えば高所得のサラリーマン等)の手に渡り、二次被害を生み出します。私達は、負動産の生み出すこの負のスパイラルを止めるべく本書を執筆しました。i

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