負動産スパイラル
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また、借りるときに賃貸契約書も権利金の支払もなく、その上、兄Aの亡くなる3年前からは地代のやりとりすらなくなっていました。このような場合のような、固定資産税相当額よりも安い賃貸借は、特段の事情のない限り「使用貸借」(タダで貸し借りした)と扱われます(昭和41年10月27日最高裁判決)。そして使用貸借されている土地の評価は「自用地評価」されることとなり、弟Bに貸しているにもかかわらず、自分で使っているのと同じ評価になってしまうのです(国税庁通達(昭和48年11月1日「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取り扱いについて」)。この土地は賃貸需要のある一等地なので自用地評価額が、2,000万円程度になったにもかかわらず、借地権相当額を控除できませんでした。そのうえ、弟Bは一人暮らしなので立ち退かせるわけにもいかず、好きに使うこともできません。結局、「負動産」の生前対策をしていなかった兄Aのツケを、多額の相続税というかたちで子のCが支払うことになったのでした。621これが負動産だ!!

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