専門税理士の相続税務
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は じ め に公社債の評価について、“売買参考統計値が公表されている利付公社債”については、どの実務書を確認しても「平均値と既経過利息の額で評価する」と書いてあります。しかし、相続実務の新人だった頃の私には、売買参考統計値が公表されているのか、平均値はどのように調べればよいのか、全く見当もつかず、そこを詳細に教えてくれる書籍にもたどり着きませんでした。相続税の実務は、紙面に書いていないことが多く、法令や通達、質疑応答事例を読んだだけではなかなか難しいといえます。また、税法や民法の広い知識を必要とし、実務上のチェックポイントは多岐にわたります。いずれの案件もひとつとして同じものはありません。ところが、相続税申告書を作成する税理士及び税理士事務所職員にとって、“実技”を学ぶ研修制度が確立されているとはいえない状況にあります。私も、事務所の所長や先輩、仲間の税理士からやり方を見聞きし、年月をかけて知識、ノウハウを蓄積していくという状況でした。さて、これから新たに相続税務に対応していこうという方はこのような機会に恵まれるでしょうか。そこで、これから相続税の実務に携わる方に対して、できるだけ実践的な技法や誤りやすいポイントを紹介することとしました。相続税務に携わり始めたころの私が望むものを形にしたつもりです。本書の主な構成については以下の通りです。第1章では、相続税の基本となる計算構造についてふれています。まず相続税の全体の計算過程を知ったうえで、各種の税額控除を漏れなく適用することが必要です。第2章では、実務の基幹である財産の認定と評価についてふれています。財産の認定とは、相続税がかかる財産か否かの判定をいい、評価とは当該財産

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