土地評価の重点解説
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第3章 宅地の上に存する権利の評価及び権利の目的となっている宅地の評価1891 相当の地代を支払っている場合等の借地権の評価⑴ 「相当の地代を支払っている場合の借地権」とは「相当の地代を支払っている場合の借地権」とは、借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金その他の一時金(以下「権利金」といいます。)を支払う取引上の慣行のある地域において、当該権利金の支払いに代え、当該土地の自用地としての価額に対しておおむね6%程度の地代を支払っている場合の借地権をいいます。また、この場合の「自用地としての価額」とは、「その土地の自用地としての価額の課税時期の属する年以前3年間の平均額」をいいます。⑵ 相当の地代を支払っている場合の借地権の評価(権利金の支払等がない場合)課税時期現在において相当の地代を支払っている場合で、借地権設定時の権利金の支払いや特別な経済的利益の供与がない場合の借地権の評価額は零です。これは、次の理由によるものです。借地権の価格を構成する要因に、賃料差額(その宅地の経済価値に即応した適正賃料と実際賃料との差額)に基づくものがあります。この考え方では、権利金の授受等により宅地の経済価値のうち借地権相当部分は借地人に移行しているため、実際の地代の額はいわゆる底地(宅地の価額から借地権部分の価額を控除した部分)に対応する額になる、というものです。相当地代通達では、宅地の経済的価値に即応した適正賃料を自用地価額の6%としているため、この額の地代を支払っている場合には、借地人に帰属する経済的価値はない、ということになり、借地権価額は零になります。第2節相当の地代を授受している場合等の借地権及び貸宅地の評価(昭和60年6月5日付直評9課資2–58「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」(以下「相当地代通達」といいます。))参 考【不動産鑑定評価基準】各論第1章第1節Ⅰ3.⑴① 借地権の価格 借地権の価格は、借地借家法(廃止前の借地法を含む。)に基づき土地を使用収益することにより借地権者に帰属する経済的利益(一時金の授受に基づくものを含む。)を貨幣額で表示したものである。 借地権者に帰属する経済的利益とは、土地を使用収益することによる広範な諸利益を基礎とするものであるが、特に次に掲げるものが中心となる。ア 土地を長期間占有し、独占的に使用収益し得る借地権者の安定的利益イ 借地権の付着している宅地の経済価値に即応した適正な賃料と実際支払賃料との乖離(以下「賃料差額」という。)及びその乖離の持続する期間を基礎にして成り立つ経済的利益の現在価値のうち、慣行的に取引の対象となっている部分

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