外国子会社合算税制
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2第1章 外国子会社合算税制の改正経緯平成29年度税制改正における外国子会社合算税制の改正をまとめるならば、既存の制度における過少合算及び過剰合算の解消(及び事務負担の相対的増加)であり、続く平成30年度税制改正はそのフォローアップと位置づけることができる。特に29年度改正は多くの改正事項があるため、抜本改正と呼ぶに相応しい内容となっている。もっとも、外国子会社合算税制の基本構造そのものに着目するならば、平成29年度改正の前後で大きな断絶は生じていない。むしろ、既存の枠組みがおおむね活かされている。抜本改正ではあるが、まるで違う制度となったわけではない。国際課税制度は、適切な課税権の確保と企業の健全な国際展開の促進という2つの政策的要請のバランスの上に成り立っている。そこでは、課税当局にとっての執行可能性、納税者のコンプライアンス・コストも重要な考慮要素となる。29年度・30年度の改正も同様であり、利害関係者による調整・折衝を踏まえ、合意がなされた。本節ではまず、新制度の説明に入る前に、改正の経緯を振り返ることとする。1 国内における議論の変遷外国子会社合算税制は、軽課税国等に設立された相対的に税負担の軽い外国子会社の所得のうち、実質的な経済活動を伴わないものを親会社の所得とみなして合算し、親会社において課税する制度である。日本では1978年(昭和53年)に創設され、2018年現在、約40年が経過した。抜本改正の背景第1節

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