外国子会社合算税制
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116第2章 外国子会社合算税制の改正内容取する場所を有していること。租税条約の範囲ついては、29年度改正の段階では法人税法第139条第1項に規定する「日本国が締結した所得に対する租税に関する二重課税防止のための条約」とされており、税務行政執行共助条約及び情報交換協定(課税権の配分に関する規定を有しないものに限る)は除かれていた。これに対し、30年度改正では、租税条約の範囲について、法人税法第2条第12号の19ただし書に規定する「我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約」とした上で(措令39の12⑤)、税務行政執行共助条約及びBEPS防止措置実施条約を明示的に除外している(措令39の15①四ロ、措規22の11④)。情報交換協定(課税権の配分に関する規定を有しないものに限る)がここでいう租税条約に含まれない点は、30年度改正前と同様である。結論として、29年度改正から30年度改正にかけて、化石燃料特例の対象国に実質的な変更があったわけではない。新しく規定した租税条約の範囲からBEPS防止措置実施条約(2018年5月に国会で批准手続が終了、9月にOECDに通知済み)を除外しなければ、二重課税防止のためのバイの租税条約を締結していない国も、BEPS防止措置実施条約の締約国との理由により化石燃料特例の対象国になり得てしまうため、技術的に除いたということである。なお、29年度改正の議論の過程では、化石燃料に加え、鉄鉱石等の鉱物資源も対象に加えることを要望したが、採用されることはなかった。租税条約の範囲の改正については、平成31年(2019年)1月1日から施行される。ただし、BEPS防止措置実施条約に係る規定については、その条約が日本国について効力を生ずる日(発行日)が平成31年(2019年)1月1日後である場合にはその発効日から適用される(30年度改正措令附則1二、同改正措規附則1二、26)。 4 欠損金の取扱い29年度改正前、特定外国子会社等の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額(既に控除済みのものを除く)は、適用対象金額の計算上、控除できることとされていた。改正後の取扱いは、以下の通りである。

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