外国子会社合算税制
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4第1章 外国子会社合算税制の改正経緯29年度改正時における政府税制調査会での説明資料は、外国子会社配当益金不算入制度と外国子会社合算税制の関係を表す良い例である(図表1-1-1)。ここでは、日本の会社が直接、海外の会社に証券投資や知的財産権の貸付けを行うことに代えて、比較的税率の低い国(N国、法人税率24%)に設置した実態のないペーパーパーカンパニーを経由してそれら取引を行い、節税効果を得ると同時に、ペーパーカンパニーから日本の親会社に配当を行う際には益金不算入となることが説明されている。こうした事態を防止するためにも、外国子会社合算税制の強化が必要、ということが示唆されている。もっとも、企業は通常、事業上の理由があって海外に進出している。外国子会社配当益金不算入による免税効果は、事業投資の結果であって、それを得ること自体が目的ではない。外国子会社合算税制の強化を正当化する理由としては、経済界の立場からすれば、説得力に欠けるのではないか、ということになる。この問題は、最後まで課税当局・学界と企業で意見がかみ合わず、今日まで続いている。余剰金(内部留保)を使った海外証券投資受取配当等への課税なし投資リターン・知財使用料収入に係る法人税支払投資リターン・知財使用料収入に係る法人税回避日本日本N国(法人税率24%)A国X社α社Z銀行A国β社B国γ社C国知財X社知財Y社知財α社β社B国γ社C国証券投資証券投資リターン証券投資リターンリターン証券投資リターン知財使用権使用料外国子会社配当益金不算入制度(外国子会社:ペーパーカンパニー)知財使用権100%出資移転使用料利子預金配当$出典:税制調査会(2016年10月14日)財務省説明資料図表:1-1-1

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