仮装経理の実務対応
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第13章●参 考 判 決 …… 197原告の平成10年6月期の法人税に係る重加算税の額は、被告が同事業年度の法人税についてした重加算税賦課決定処分と同額であるから、同重加算税賦課決定処分は適法である。また、前記のとおり、本件消費税等更正処分の納付すべき税額は、別紙消費税等一覧表の更正処分等欄⑦の金額であり、これから既に納付した税額1662万7300円(甲1)を控除すると、857万1500円となるから、これを前提とすると、本件課税期間の消費税等に係る重加算税の額が同欄⑧の金額となることは、計数上明らかである。したがって、原告の本件課税期間の消費税等に係る重加算税の額は、被告が本件課税期間の消費税等についてした重加算税賦課決定処分と同額であるから、同重加算税賦課決定処分は適法である。4  以上によれば、本件各処分は適法であり、原告の請求は理由がないからいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。仮装経理や粉飾決算に関する判決や裁決をTAINSで検索すると、この盛岡地裁判決に類似するものが圧倒的に多い。これは、法人税法が求める修正経理を適切に行わず仮装経理の訂正を架空の取引により相殺等した場合に、その架空取引を税務当局の調査担当者に把握され、仮装隠ぺい行為と認定され重加算税対象とされるものである。法人にとって納得のいかない処分であり、法人サイドに立てばなるべく目立たないように仮装経理の後始末をしたいとの動機は理解できるが、この判決のように課税リスクが高いと言わざるを得ない。筆者コメント

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