賃上げ・投資促進税制(所得拡大促進税制)の実務解説
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第1節 制度の概要 本書で解説を行うのは、青色申告法人が適用年度1(平成25年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度)中に国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、一定の適用要件を満たすときに、雇用者給与等支給増加額に基づき計算される一定額を法人税額から控除するという制度である(次表参照、措法42の12の5①)。 平たく言えば、「国内雇用者に対する給与の支払を増やすこと(=賃上げ)によって受けられる税額控除」ということである。 この税制は、平成25年度の制度創設以来「所得拡大促進税制」として知られていたところであるが、平成30年度の税制改正によって「賃上げ・投資促進税制」として抜本的に改組され、賃上げのほか一定の設備投資を実施した企業に対する租税特別措置となった。 そこで本書では、現行(改正後)の税制については「賃上げ・投資促進税制」、過去(改正前)の税制については「所得拡大促進税制」の用語を用いることとする。 なお、経済産業省においては「賃上げ・生産性向上のための税制」との用語を用いている。1 設立事業年度、解散(合併による解散を除く)の日を含む事業年度および清算中の各事業年度を除く。   また「設立事業年度」とは、設立の日を含む事業年度をいうが、「設立の日」には以下の日も含まれる(措令27の12の5の③一)。  ・外国法人:恒久的施設を有することとなった日  ・公益法人等および人格のない社団等:新たに収益事業を開始した日  ・公益法人等(収益事業を行っていないものに限る)に該当していた普通法人または協同組合等:その普通法人または協同組合等に該当することとなった日3

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