中小企業のための組織再編・資本等取引の会計と税務
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 はじめに 平成13年度に組織再編税制が導入され、平成22年度にグループ法人税制が導入されました。そして、平成29年度税制改正では、組織再編税制の大幅な見直しがなされています。その結果、今後も、多くの企業で、組織再編・資本等取引が行われることが予想されます。 私共の経験上、大企業における会計・税務上の論点と、中小企業における会計・税務上の論点は異なることが多いと感じています。例えば、中小企業の株主の多くは個人株主であり、個人株主から法人に対する現物出資や法人から個人株主への現物配当については、中小企業特有の論点であると考えられます。また、上場企業の子会社が組織再編・資本等取引を行う場合と異なり、個人株主のみなし配当課税にも留意しなければなりません。 しかしながら、市販の書籍の多くは、大企業向けの組織再編・資本等取引に視点が向けられており、数少ない中小企業向けの組織再編・資本等取引の書籍についても、事業承継対策のみに着目しているものが多いと思われます。実務上のご相談も、市販の書籍とは異なる視点のものが多く、中小企業の顧問をされている公認会計士、税理士の先生方のニーズに合致した書籍が必要であると感じました。 そのような背景から、本書では、中小企業が組織再編・資本等取引を行った場合における会計・税務の取扱いについての総合的な解説を行うことを目的としています。なお、種類株式、新株予約権、任意組合、匿名組合、民事信託、一般社団法人、医療法人などの特殊な取扱いは、これらの適用を受けない読者に無用の混乱を与えるおそれがあることから、本書では解説を省略しています。

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