QA法人税〔微妙・複雑・難解〕事例の税務処理判断
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▶Q40~Q588740役員への土地の簿価譲渡役員が70歳になり、退職することになったので、退職前に無償返還の届出を提出して貸していた簿価1,000万円(時価2,000万円)の土地について、1,000万円で役員に譲渡することにしました。何か問題はありますか。時価と譲渡対価との差額1,000万円は、役員に対する定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与以外の臨時の給与と認定されます。*          * 法人税法第22条第2項において「資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡」は当該事業年度の収益の額とすると規定されています。さらに、同法第4項において「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。」とされています。 平成7年12月19日最高裁判決では「譲渡時における適正な価額より低い対価をもってする低額譲渡は、法人税法22条第2項にいう有償による資産の譲渡に当たることはいうまでもないが、この場合にも当該資産には譲渡時における適正な価額に相当する経済的価値が認められるのであって、たまたま、現実に収受した対価がそのうちの一部のみであるからといって適正な価額との差額部分の収益が認識され得ないものとすれば前記のような取扱いを受ける無償譲渡の場合との間の公平を欠くことになる。したがって右規定の趣旨からしてこの場合に益金の額に算入すべき収益の額には当該資産の譲渡の額のほか、これと右資産の譲渡時における適正な価額との差額も含まれるものと解するのが相当である。」と判決しています。 すなわち、時価と譲渡対価との差額は法人の譲渡益と認識され、同時に譲

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