建設業の経理№79
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経営管理に活かす実践!上手な資金繰り[第5回]<金融機関との付き合い方①>融資交渉の基本を理解しよう四国大学経営情報学部教授/㈱みどり合同経営取締役藤井一郎これまで,資金繰りを血液の循環と捉え,その血液を内部の管理強化や取引先との条件交渉等により作り出していくことを中心にお話してきました。今回は,その血液を運んできてくれる金融機関との付き合い方をテーマに,お話していきたいと思います。1金融機関取引の背景にある金融行政の動向を理解しよう経営者の皆様や,経理をご担当されている皆様は,日常的に金融機関とお付き合いをされている方が大半かもしれません。また,その一方で,「金融機関にはできるだけ接触したくない」と思われている方も多いかもしれませんね。会社が社内に蓄積されたお金だけで資金を回していければそれは楽ですし,金融機関への対応に,時間を費やさなくて済みます。とはいえ,業績が低迷し,会社が窮地の時には,外からの調達を含めた資金繰りの力が会社を倒産させない最後の砦となります。また,会社が何か新しい取組みを行うために先行投資が必要な場合など,会社のさらなる成長のために,金融機関からの融資がその糧となる可能性もあります。そこで,金融機関との上手な付き合い方について,見ていきたいと思います。経営者や経理担当者の皆様が,金融機関との付き合いにおいて注意しなければならないポイントはたくさんあります。そこで,それらのポイントを個別に理解しようとするよりも,その背景を理解するほうが近道でしょう。その背景とは,金融行政の動向を見ていくことです。皆様は最近,「事業性評価」という言葉を耳にされたことはありませんか。「事業性評価」とは,金融機関が企業の財務データや保証・担保だけで融資判断するのではなく,企業の事業内容や成長可能性等も評価するというもので,この評価に基づく融資を「事業性評価融資」といいます。従来一般的であった,財務データと保証・担保で融資可否を判断するという金融機関のスタンスのもとでは,「成長力はあるものの決算書の内容があまりよくない」という企業に,事業に必要な資金が融資されないという問題がありました。そこで出てきたのが「事業性評価」です。46建設業の経理Summer2017

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